ミッションとは

2022年7月20日バイクパーツ用語解説

ミッションとは

ミッション メインシャフト・カウンターシャフト ミッション メインシャフト・カウンターシャフト カウンターシャフト

ミッションとは変速機の事です。

例えば、通常のマニュアルミッションバイクの1速のギアしかない場合、回転数と共に1速のギアでの速度しかでません。
つまり、1速で仮に30キロしか速度が出ず、30キロ出すのにレブまで回さないといけません。
燃費も悪く、回転数が高ければ騒音も問題になりますしエンジンの摩耗も早まります。

そこで、複数のギアを組み合わせて、6パターンの組み合わせが出来たらどうでしょう。
低速用のギア。高速用のギア。
このように、場面に応じて変速したら、静止状態からの発進も楽ですし、高速でもエンジン回転数を落として、燃費が向上し静かに走る事ができます。
勿論、レースのような速さを求める事も出来ます。

聞いた話によりますと昔、12速のマニュアルミッションのバイクが存在していたそうです。

カジバ ミト

因みに今、最も変速の多いマニュアルミッションのバイクは、知る限り「カジバ ミト」の7速です。

ミッション 位置確認エンジンの中身ミッション

まずエンジンの中身はこの様な状態になっています。クランクケースの下半分を外して逆さまにした状態です。
青枠の部分がメインシャフト、赤枠の部分がカウンターシャフトです。これらがミッションです。
緑の枠はクランクシャフトです。

仕組みはこちらの動画が参考になります。
こちらの動画のミッションはウルフやガンマに使用されているカセットミッションです。
通常ですと先の画像のようにエンジンを車体から降ろさないとミッションは交換できないのですが、カセットミッションはエンジンを車体に着いたまま横から交換できます。
主にレース目的の車輛に付いており、ミッション交換の度にエンジンを降ろしてクランクケース割ってとなると手間が掛かります。そこで、横から簡単に入れ替えできるカセットミッションがあります。

ミッションの動き自体は同じですのでこちら様の動画が参考になります。
動画の左側にクラッチがついて、手前側にクランクシャフトがつきます。

シフトドラム・シフトフォークシフトドラムシフトフォークDSCN0825

こちらがシフトドラムとシフトフォークです。
シフトペダルをライダーが操作すると、シフトフォークが動きます。シフトフォークの動きはシフトドラムの溝によって決まっております。
シフトフォークが動くと、ギアを変速します。

オイルパンエンジン 下からエンジン 下から

エンジンをオイルパンだけ外して下側からのぞき込むとこんな感じです。
複雑そうみ見えます。
2サイクルエンジンをオーバーホールした後に4サイクルエンジンをオーバーホールすると、2サイクルエンジンがいかに単純な作りなのかが分かります。
作るなら2サイクルエンジンの方が部品点数も少なく、パワーも出るので安価にハイパワーなエンジンが出来上がります。
ですが、時代の流れは、「馬力」より「エコ」を求めるようになり2000年位を境に2サイクルエンジンの国内での製造・販売は無くなりました。
そして、この4サイクルエンジンも将来消える事になるかもしれません。
既にフランスは2040年にはガソリン車・ディーゼル車の販売は禁止になるそうです。同年には新車の54%が電気自動車になるそうです。(ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス 調べ)
2輪業界でEVに需要があるのはスクーター位でしょうが、もしかしたらEVのアメリカンが走る日も来るのかもしれません。

ミッション オイル穴

ミッションのシャフトには、このように小さな「オイル穴」があります。
シャフトとギアの間にはオイルが介在しております。これにより、スムーズなシフトの動きが実現出来ています。
エンジンオイルを交換せずに、使い続けるとオイル穴に異物が溜まってオイルが供給出来なくなります。
異物とは、エンジンオイルがヘドロになる(特に鉱物油は劣化するとヘドロのようになる)事で、供給出来ずにシャフトとギアの金属同士が擦れ合って焼き付く事にもなりかねます。

オイル穴は、ミッションだけでなく、クランクシャフト・クランクケース・カムシャフト・シリンダヘッドにも無数の穴が開けられています。その中をオイルが通っていくのです。
なので、オイル交換は定期的に行った方が良いのが頷けるかと思います。

カムシャフト オイル穴クランクシャフト オイル穴

因みに、左画像がカムシャフトのオイル穴です。
右画像がクランクシャフトのオイル穴です。

バイクのミッションの大半は、常時噛み合い式(ドグミッション)

車のマニュアル車は、シンクロメッシュ式トランスミッションといい、変速機構に回転速度を同期させる「シンクロメッシュ」が使われています。
このシンクロメッシュを使わないタイプのミッションを「ノンシンクロトランスミッション」と呼んでおり、常時噛み合い式のモノは、通称「ドグミッション」と呼ばれています。

バイクのミッションの大半はドグミッションです。車のレースではシンクロメッシュ(これは消耗品)は使わずに、ドグミッションを入れます。
何故、車のレース車輛に入れられるドグミッションが、バイクに標準装備されているのかというと、単純にバイクのシフト操作は足で操作するので、車のようなHパターンの操作は出来ないからです。
他に挙げるとすれば、小型軽量化ができます。
因みに、バイクのような一方行の往復動作で、1段ずつ変速を行うシフトを「シーケンシャルシフトパターン」と呼びます。
これも、車ではレース車輛に使われています。

因みに、こちらが車のシーケンシャルです。前に押すとシフトダウン(減速時なので、体も前に出ようとするので)。後ろに引くとシフトアップ(加速時、体が後方に押されるので)。

4stと2stのマニュアルトランスミッションオイルについて

マニュアルトランスミッションのバイクで、4サイクルエンジンの場合、大半がエンジンオイルがミッションオイルを兼ねています。
つまり、4サイクルエンジンでは、エンジンオイルを入れておけばミッションオイルも同時に潤滑してくれます。

2サイクルエンジンの場合、エンジンオイルではミッションまでは潤滑されないので、ミッションオイルが別に必要になります。ミッションの部屋と燃焼側の部屋が分かれているというイメージです。
ミッションオイルは、エンジンオイルを使用するようにと、一部の車種のサービスマニュアルに記載がありますが、基本的に専用のミッションオイルを入れておくと良いでしょう。

ヤマハ ギアオイルモチュール ギアオイル

ミッションオイルというと、ヤマハ純正のギアオイルを購入する方が多いようですが、WAKO’SやNUTEC、MOTUL等にもミッションオイルがあるので、エンジンオイル同様、ミッションオイルを変える事によってシフトフィーリングの変化も楽しめるでしょう。
ミッションオイルは劣化するとシフトが入りにくくなります。4サイクルエンジンであれば、エンジンフィーリングよりシフトフィーリングでエンジンオイルを交換する目安にするのも良いかもしれません。
勿論、2サイクルエンジンも同様にシフトが入りにくくなってきたら、交換サインです。

まとめ

  • ミッションとは、変速機の事。
  • バイクのミッションの大半は、常時噛み合い式(ドグミッション)のシーケンシャルシフトパターン
  • 2サイクルエンジンの場合、エンジンオイルの他にミッションオイルが必要
  • 4サイクルエンジンの場合、基本的に、エンジンオイルがミッションオイルを兼ねるので、別途ミッションオイルは必要ない
  • 定期的に、ミッションオイルを交換する事がライフ・フィーリングを向上させる為に大事

 

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