サーモスタット

サーモスタット

サーモスタットとは

エンジンの温度を調整するためのパーツです。
サーモスタットの設定された温度になると開閉して設定温度に保つ役割があります。
エンジンなら、多くの場合水温が65℃付近で開き始めて、水温80℃付近で全開になります。

サーモスタットの仕組み

サーモスタット内部にワックスが封入されており、エンジンの温度が上がると冷却水の温度も上がり、ワックスの温度も上がります。
すると、ワックスが膨張してスプリングの力が上回った時(約65℃)にサーモスタットの弁が開いて冷却水をラジエターに送り出す仕組みです。
弁が全開になる温度が約80℃です。

ラジエターに冷却水が流れるまでの一連の流れ

  1. エンジン始動
  2. エンジンの温度が上がり、シリンダ・シリンダヘッド内部を通っている冷却水の温度も上がる
  3. ウォーターポンプにより、エンジン内部の冷却水が循環される
  4. 冷却水の温度が60℃付近になる
  5. サーモスタットの弁が開く
  6. ラジエターに冷却水を流す
  7. ラジエター内の冷却水がサーモスタットの弁からエンジンに流れる(走行しているので冷却水は冷たい状態)
  8. 冷却水を80℃付近で一定に保つ

サーモスタットが故障している場合の症状

サーモスタットが劣化すると、開いたまま閉じ無くなる場合か反対に閉じたまま開かなくなる場合があります。
各症状は、以下の通りです。

  • 弁が閉じたままの状態:水温が上がり続けるので、水温計の針が振れエンジンはエンジンレスポンスが悪くなりアイドリングが不安定(熱ダレ)になります。いわゆるオーバーヒート状態になります。
  • 弁が開いたままの状態:水温が上がらないので、水温計の針が振れずエンジンは回りますがパワー感が無くなります。いわゆるオーバークール状態になります。

交換時期

通常、故障してから交換となります。
以下のサーモスタット点検方法の簡易点検で、故障していると判断したら詳しく点検してみると良いでしょう。
点検で故障していない場合、年数や距離を走っていたらこの機会に交換するのも良いと思います。

サーモスタットが取り付けられている箇所

シリンダヘッドからラジエターまでの間にサーモスタットケースの内部に取り付けられています。
サーモスタットケースには、2本以上のラジエターホースが取り付けられており、サーモスタットケースが盛り上がっています。

サーモスタット交換費用

サーモスタット:約2000円
ガスケット:約500円
冷却水:約1,000~2,000円
合計:約3,500~4,500円

サーモスタットの点検

詳細情報は、サーモスタット点検方法をご覧下さい。
以下、記事の抜粋です。

サーモスタットが正常に動作しているか点検していきましょう。
サーモスタットが開く温度は大体60度から開き初め80度で全開になります。
これから行う事は、水のいれた鍋にサーモスタットを入れ温度を上げていき実際に動作するかを確認していきます。

サーモスタット 針金を通すサーモスタット お湯に浸す

サーモスタットに針金を通した後、水を入れた鍋に入れましょう。
針金は、鍋の底にサーモスタットが接触しないために取り付けます。

サーモスタット お湯に浸す2サーモスタット 点検 温度計

火をいれて水温を上げていきます。
温度計があると開度のタイミングが分かるので良いでしょう。

尚、使用する温度計は100度以上の製品を使用しましょう。
沸騰したときに100度以上になるので破損する可能性があるので注意です。

サーモスタット 閉まっている状態温度計 50度

上記画像は、サーモスタットが閉じている状態です。
エンジンが冷えている状態では、この密閉状態でラジエターへ繋がる通路へは流れずエンジン内部を循環しています。

サーモスタット 開いている状態温度計 90度

上記画像は、サーモスタットが開いている状態です。
エンジンの温度が高くなるとこの隙間からラジエターへ繋がる通路へ水を流します。

 サーモスタットの交換方法

詳細情報は、サーモスタット交換方法をご覧下さい。
以下、記事の抜粋です。

1.サーモスタットハウジングの取り外し

サーモスタッド 水温センサー 位置確認サーモスタットハウジング

サーモスタットの位置を確認しましょう。
サーモスタットは、ラジエター上部に繋がっているホースを辿っていくとホースが複数繋がっている1つのパーツに辿り着きます。
それが、サーモスタットが入っているハウジング(サーモスタットを覆っているパーツ)になります。

1本の配線がサーモスタットハウジングに繋がっていますが、これは水温を取るサーモセンサーの配線です。
水温計へ情報を送る配線で、サーモセンサーの抵抗値を変える事で電圧を変化させ、掛かっている電圧の比率によって水温を計測する仕組みです。
例えば、12Vなら水温100度・10Vなら水温90度と表示させるイメージです。

サーモスタッド固定ボルト 取り外しサーモスタッド固定ボルト 取り外し2

サーモスタットハウジングの固定ボルトを取り外しましょう。

サーモスタッド 水温センサー カプラー 取り外しサーモスタッド 水温センサー カプラー 取り外し2

サーモスタットに繋がっている配線の端子を取り外しましょう。

サーモスタット ホース 固定バンド 緩める サーモスタット ホース 取り外し後

サーモスタットに繋がっているホースバンドを緩め、ホースを取り外しましょう。
プライヤー・ペンチの使用は変形する可能性があるので控えましょう。
冷却水が出てきます。エンジンに掛かっても大きな問題はありませんのでそのまま溢しましょう。
尚、下には冷却水を受け止める容器を置いておくと良いでしょう。

塗装面に付着しても洗い流せば問題ありません。

サーモスタット ホース 取り外し4サーモスタット ホース 取り外し後2

サーモスタットハウジングを取り外しましょう。

サーモスタット ホース 取り外し後 冷却水 清掃サーモスタット ホース 取り外し後 冷却水 清掃2サーモスタット ホース 取り外し後 冷却水 清掃3サーモスタット ホース 取り外し後 冷却水 清掃4

冷却水を水で洗い流しましょう。
冷却水を塗装面に付着させた状態で長時間放置すると塗装面が傷んだり、熱が入ると跡が残る可能性があるので注意しましょう。

2.サーモスタットの交換

サーモスタット 取り外し後

こちらが取り外したサーモスタットハウジングです。
サーモスタットハウジング内には、サーモスタットが入っています。

サーモスタット 固定ボルト 取り外しサーモスタット 固定ボルト 取り外し2

サーモスタットハウジングの固定ボルトを取り外しましょう。

サーモスタット ハウジング割り

プラスチックハンマーで衝撃を与えサーモスタットハウジングを分割しましょう。
注意点として、マイナスドライバー等をハウジング間に割り込ませとハウジングが傷つき冷却水が溢れる可能性があるのでやめましょう。

サーモスタット ハウジング割り2

サーモスタットハウジングを分割するとサーモスタットが乗っています

サーモスタット 取り外しサーモスタット 取り外し2サーモスタット 分解後

サーモスタットを取り外しましょう。
画像のように液体ガスケット(赤い部分)が使用されていると、サーモスタットにも付着している場合があり外し難い時があります。
外し難いようなら、プライヤーで軽く挟みながら力を加えると容易に外れます。
この後、点検して正常なら再利用するので破損させないように注意しましょう。

サーモスタットハウジング スクレーパー4サーモスタットハウジング スクレーパー3サーモスタットハウジング スクレーパー2

液体ガスケットが使用されている場合、スクレーパーでサーモスタッドハウジングに付着している液体ガスケットを除去しましょう。
スクレーパーを使用する際は、スクレーパーの中央に人差し指を置いて使用しましょう。
片方に重心が偏ると、液体ガスケットのみならずハウジング自体を削ってしまう場合があるので注意しましょう。
また、スクレーパーの先に手を置いて怪我をしないように注意しましょう。

ガスケット剥がしを怠ると組み上げた際に均一な面にならず冷却水が漏れる可能性があります。
重要な工程なので液体ガスケットが使用されている場合は必ず行いましょう。

サーモスタットハウジング ガスケット 精密ドライバー 取り外し2サーモスタットハウジング ガスケット 精密ドライバー 取り外し

Oリングが入る部分に液体ガスケットが付着しているようなら、精密ドライバーのマイナスを使って除去すると良いでしょう。

サーモスタットハウジングの面出し

サーモスタット オイルストーン 後 オイルストーン オイルに浸す2サーモスタットハウジング 面出し

面出し(つらだし)とは、ガスケットを除去した後に金属の面を均等に出す作業です。
必須ではありませんがオイルストーンをお持ちであれば行いましょう。

オイルストーンの両端と真ん中を軽く持ち、撫でるようにスライドさせます。
詳しくは、オイルストーンの使い方をご覧下さい。

サーモスタットハウジング ガスケット 除去後サーモスタットハウジング オイルストーン 後2

3.サーモスタットハウジングのタップ・ダイス・清掃

サーモスタットハウジング 冷却水 垢

ジョイント部分に冷却水の汚れがある場合は清掃しましょう。
次第に金属が腐食してきて浸食するとジョイントに穴が開く場合があります。
塗装されていて、塗装が剥がれているようなら、ジョイントだけ再塗装する事をお勧めします。
絶版車になるとパーツ入手が困難になってくるのでメンテナンスで延命する方向で整備していくと良いでしょう。

スポンジ スコッチブライト 分離スポンジ スコッチブライト 

画像のような食器用スポンジの緑部分はスコッチブライトと呼び研磨材です。
紙やすりが繊維仕様になったものと考えて頂けると分かりやすいでしょう。
このスコッチブライトを使用する事で、紙やすりとは違い変形して局面の汚れも除去できます。

サーモスタットハウジング 冷却水 垢 除去サーモスタットハウジング 冷却水 垢 除去2

スコッチブライトでジョイントを磨きましょう。
サーモスタットハウジングが塗装されている場合は、腐食もしくは錆を除去してから再塗装する必要があります。
再塗装しなければ腐食・錆の進行が進みいずれジョイントに穴が開いて、破損したジョイントが冷却水の通路挟まり冷却系に不具合が発生する可能性があります。

サーモスタットハウジング タップ

タップ・ダイスを使用してねじ山を清掃しましょう。
ねじ山に異物が付着している状態でトルク管理すると、締め付けトルク不足になる可能性があり冷却水が漏れてくる可能性があります。
正確なトルク管理をするために、タップ・ダイスを使いねじ山を清掃しましょう。
詳しくは、タップ・ダイスの使い方をご覧ください。

4.サーモスタットハウジングの取り付け

サーモスタットハウジング サーモスタット 取り付けサーモスタットハウジング サーモスタット 取り付け3

サーモスタットをハウジングに取り付けましょう。
向きに指示がある場合は従いましょう。
参考車両のサーモスタットの場合、穴がある位置をサーモセンサーに向けて取り付けます。

サーモスタットハウジング Oリング 取り付けサーモスタットハウジング Oリング 取り付け2

新品のOリングをサーモスタットハウジングに取り付けましょう。
Oリング等のゴムのガスケットの場合は再利用は出来ません。
一度利用すると、ゴムが潰れてしまうので再利用して組み付けた場合、ガスケットの役割を果たせず冷却水が溢れてくる場合があります。
もし、廃盤部品ならばOリング作成キットを使用すると良いでしょう。

Oリング作成キット購入はこちら

サーモスタットハウジング 取り付け

サーモスタットハウジングを取り付けましょう。
Oリングがずれないように注意して下さい。

サーモスタットハウジング 取り付け2サーモスタットハウジング 取り付け3

サーモスタットハウジングの固定ボルトを指定トルクで締め付けましょう。

サーモスタットハウジング ホースの取り付けサーモスタットハウジング とりつけ 

サーモスタットを車体に取り付けましょう。

サーモスタットハウジング ホース 取り付けサーモスタットハウジング ホースパン度 とりつけ 

ホースを取り付け、固定バンドを締め付けましょう。

サーモスタットハウジング センサー配線 取り付けサーモスタットハウジング センサー配線 取り付け2

サーモセンサーの端子を取り付けましょう。

サーモスタットハウジング 固定ボルト 取り付け

サーモスタットハウジングの固定ボルトを取り付けましょう。

Q&A

  • アイドリング状態で放置したら、エンジンはオーバーヒートしますか?
    • ラジエターにファンが取り付けられていなければ、いずれオーバーヒートするでしょう。
      街中走行でオーバーヒートするようなら、冷却水を性能の良い製品に交換したり、水の割合を多くする事で対応します。
      添加剤やエンジンオイルでも改善します。
  • ローテンプサーモスタットとは?
    • スポーツ用サーモスタットともいい、純正のサーモスタットに比べ低い冷却水の温度で作動するサーモスタットです。
      スポーツ走行時など、エンジンが高温になる状況下で冷却水の循環を早める事で、熱によるパワーダウンを防ぐ事が出来ます。

 

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