サーモスタット点検方法

2020年7月17日メイン整備記事,冷却系

冷却水は、ラジエターを通って冷却するという事はご存知の事でしょう。
しかし、常にラジエターに冷却水を送って冷やしているわけではありません。
冷却水をラジエターに送って水温を下げ、エンジン内で循環させて水温を上げるを繰り返して水温を約80度程に安定させています。

エンジンは設計する段階で、エンジンに熱が入った状態で内部のクリアランス(ピストンとシリンダー間等)を最適な状態にするように作られています。
なので、水温が60度位まではラジエターには冷却水は流れずエンジンの中を巡回しています。

その循環の機能を果たしているパーツがサーモスタットです。
要約すると、ラジエターに送る弁の役割をしています。

今回はサーモスタットの点検方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。

整備情報

作業手順

1.サーモスタットの簡易点検

エンジンを始動させ、ラジエター全体を手のひらで覆いましょう。
ラジエターのフィンを保護するカバーが掛かっているようなら外してください。

ラジエター下部は熱が伝わり徐々に暖かくなるがラジエター上部は冷たいままなら正常です。
サーモスタットが開くと一気にラジエター全体が熱くなります。

もし、エンジン始動した数十秒~1分程度でラジエター上部まで熱くなるようならサーモスタットが開いたまま故障しています。
反対に、いつまで経ってもラジエター上部が冷たいままならサーモスタットが閉じたまま故障しています。

2.サーモスタットの点検

サーモスタットが正常に動作しているか点検していきましょう。
サーモスタットが開く温度は大体60度から開き初め80度で全開になります。
これから行う事は、水のいれた鍋にサーモスタットを入れ温度を上げていき実際に動作するかを確認していきます。

サーモスタット 針金を通すサーモスタット お湯に浸す

サーモスタットに針金を通した後、水を入れた鍋に入れましょう。
針金は、鍋の底にサーモスタットが接触しないために取り付けます。

サーモスタット お湯に浸す2サーモスタット 点検 温度計

火をいれて水温を上げていきます。
温度計があると開度のタイミングが分かるので良いでしょう。

尚、使用する温度計は100度以上の製品を使用しましょう。
沸騰したときに100度以上になるので破損する可能性があるので注意です。

サーモスタット 閉まっている状態温度計 50度

上記画像は、サーモスタットが閉じている状態です。
エンジンが冷えている状態では、この密閉状態でラジエターへ繋がる通路へは流れずエンジン内部を循環しています。

サーモスタット 開いている状態温度計 90度

上記画像は、サーモスタットが開いている状態です。
エンジンの温度が高くなるとこの隙間からラジエターへ繋がる通路へ水を流します。

サーモスタットの仕組み

サーモスタットの内部には、ワックスが封入されています。
このワックスが冷却水の温度によって高温になると膨張し、スプリングを押し縮めてサーモスタットの弁が開く仕組みです。

サーモスタットが故障している場合の症状

サーモスタットが劣化すると、開いたまま閉じ無くなる場合か反対に閉じたまま開かなくなる場合があります。
各症状は、以下の通りです。

  • 弁が閉じたままの状態:水温が上がり続けるので、水温計の針が振れエンジンはエンジンレスポンスが悪くなりアイドリングが不安定(熱ダレ)になります。いわゆるオーバーヒート状態になります。
  • 弁が開いたままの状態:水温が上がらないので、水温計の針が振れずエンジンは回りますがパワー感が無くなります。いわゆるオーバークール状態になります。

まとめ

  • サーモスタット簡易点検時、エンジンを始動させラジエター全面に手のひらを当てて覆いラジエター下部は熱が伝わり徐々に暖かくなるがラジエター上部は冷たいままなら正常。エンジン始動した数十秒~1分程度でラジエター上部まで熱くなるようならサーモスタットが開いたまま故障している。冷たいままでも故障している。
  • サーモスタット点検時、鍋に水を入れて針金をサーモスタットに通して鍋の底に当たらないようにしてから鍋に火をかけて90度近くまで上げてサーモスタットが開くか点検する。開いたのを確認したら鍋から取って放置しサーモスタットが閉じるか点検する。

 

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