バイクのリアブレーキディスク交換方法

リアブレーキディスクの交換方法

ブレーキディスク交換というとブレーキパッド交換より随分ハードルが上がり難しい印象を受けるかもしれません。
確かにホイールの脱着作業も加わるので難易度は上がりますがブレーキディスク交換の作業はそれほど難しくはありません。
ただ、ブレーキ整備は最も重要な整備なのでねじの締め付け忘れを十分に確認して頂きたいと思います。

今回はリアブレーキディスクの交換方法を解説します。
是非、参考にして頂きたい。

整備情報

※ブレーキディスクは、リンク先の検索窓で車種名を入力して適合する製品を選んでください。例:CBR400RR

[予備知識]ブレーキディスク・パッドは必ず偏摩耗する

ブレーキディスクは均一に摩耗せず、不均一に摩耗する『偏摩耗』が必ず発生します。
ブレーキディスクが編摩耗する要因は、以下の2つです。

1.ブレーキディスクの回転半径

ブレーキディスクは、内側に対し外側にいくにつれ、回転半径が大きくなります。
回転の半径が大きくなるほど回転する回数は多くなります。
ちなみにバイクのトランスミッションなどは、その原理を利用して変速を行っています。
よって、必然的にブレーキディスクは外側にいくにつれ摩耗度合いが大きくなります。
使用をするにつれて、ブレーキディスクの内側と外側の摩耗度合に差ができることにより編摩耗に発展します。

2.異物

ブレーキディスク表面を指でなでると段付きしている箇所がある場合があります。
走行中に小石等の固い異物がブレーキパッドとブレーキディスクの隙間に入り込み、制動した際に段付きが発生します。

詳しくは、[DIXCEL]ブレーキパッドとブレーキローターは同時交換する方がいい?をご覧ください。

ブレーキ性能を100%発揮するには

ブレーキディスクの交換時期はブレーキディスクに書かれたMINマークを基準にするよう指定されています。
しかし、上記で説明した通り編摩耗の発生により摩耗したブレーキパッドに新品ブレーキディスクを組んでも両者は均一に接触せず性能を100%発揮する事はできません。
ブレーキ性能を100%発揮するには、ブレーキディスクとブレーキパッドをセット交換、加えてブレーキキャリパーO/H・ブレーキマスターO/H・ブレーキレバーのグリスアップも同時に行うと本来の性能を楽しめます。

作業手順

1.リアホイール取り外し

アクスルナット緩める

リアホイールを取り外しましょう。

チェーンガードを取り外し、ブレーキキャリパーを取り外し、チェーンアジャスターを緩め、チェーンをリアスプロケットから取り外し、リアホイールを取り外し、ホイールカラー取り外して保管しましょう。
詳しくは、リアホイール取り外し・取り付け方法をご覧ください。

2.ブレーキディスク取り外し

ホイール下にウエスを敷く

ホイールの傷付き対策として、毛布や段ボールを敷いた上にホイールを置きましょう。

リアブレーキディスクボルト穴リアブレーキディスクボルト穴清掃

六角穴付きボルトでブレーキディスクが固定されている場合、穴を清掃しましょう。
清掃は先端が細いものを使用しましょう。
はんだごてや配線ドライバー、精密ドライバー(マイナス)がお勧めです。
ホコリや錆等の異物が穴に入っている状態で取り外しを行うと外す際にネジ頭がナメる可能性があるので注意しましょう。

リアブレーキディスクボルト穴ハンダ

はんだごてを使用してブレーキディスク固定ボルトを熱しましょう。

ネジロック剤は熱により効力を失う性質があります。
ボルト頭がナメてしまうと救出が大変なので効力を弱めてから取り外しましょう。

バーナーの使用は、ダストシールが燃える危険性やローターが歪む可能性(ディスク再利用する場合)がありマグネシウムホイールの場合は熱に弱く変質してしまうのでバーナー使用は控えましょう。

六角ボルトの場合は特に熱を入れる必要は無いでしょう。

リアブレーキディスクボルト穴ショックドライバー4リアブレーキディスクボルト穴ショックドライバーリアブレーキディスクボルト穴ショックドライバー2

六角穴付きボルトの場合、ショックドライバーで取り外しましょう。
電動・エアインパクトは横方向のみショックを与えますが、ショックドライバーは横方向と縦方向にショックを与える為ナメにくく取り外せる確率が高まります。
ショックドライバー購入はこちら

ショックドライバーを使用する際は、緩める方向にテンションを掛けながらハンマーで叩くと緩みやすくなります。
詳しくは、ショックドライバーの使い方をご覧ください。

六角ボルトの場合はスピンナハンドルかインパクト系で緩めると良いでしょう。

3.タップ

リアブレーキディスクボルト穴タップリアホイールブレーキディスク ボルト穴 パーツクリーナー

ブレーキディスク固定ボルトにはネジロック剤が塗布されています。
ネジロック剤が残っている状態でのトルク管理は精度は落ちてしまい正確にトルク管理はできません。
ブレーキは最も重要な装置なので必ずタップを掛けて下さい

詳しくは、タップ・ダイスの使い方をご覧ください。

4.ブレーキディスク取り付け

リアホイール ブレーキディスク・ボルト装着

ブレーキディスクの新品固定ボルトを取り付けましょう。
現段階ではまだボルトを固定しないで下さい。

サービスマニュアルに従いネジロック剤の塗布が必要な場合は塗布してください。
純正でボルトに固形のネジロック剤が塗布されている場合は、こちら側で塗布する必要はありません。

尚、ブレーキディスクの固定ボルトは必ず純正新品ボルトを使用して下さい。
ブレーキはバイクの中で一番重要なパーツです。
劣化した中古のボルトを使用して万が一外れてしまうと大事故になりかねません。

タイヤ進行方向マークリアホイールブレーキディスク テンションを掛けて締め付け

タイヤ進行方向に対し、逆方向にテンションを掛けてボルトを締め付けましょう。
タイヤ進行方向はタイヤに矢印が記されています。
上記画像なら反時計回りが進行方向なので、ブレーキディスクを時計回りにテンションを掛けて締め付ける事になります。

逆方向にテンションを掛けて仮止めする理由

ボルトを挿入した時点でブレーキディスクを左右に揺すると音を立てると思います。
これはブレーキディスクとボルト間に若干の遊びがあることを現しています。

ブレーキ制動時にブレーキディスクはタイヤ進行方向と逆の力が加わります。
そこで、逆方向にテンションを掛けて締め付ける事によりダイレクトにブレーキディスクからホイールへ力の伝達が期待できます。

リアホイールブレーキディスク 規定トルクで締め付け2

ブレーキディスク固定ボルトを対角線上に2、3回に分け指定トルクで締め付けましょう。
上記画像のようなプリセット型トルクレンチを使用する場合は何度もカチカチ行わないようにしましょう。
詳しくは、トルクレンチの使い方をご覧ください。

5.リアホイール取り付け

アクスルナットをトルク管理2

リアホイールを取り付けましょう。

アクスルシャフト・ホイールのダストシール溝・ホイールカラー万能グリスを塗布し、ホイールカラーをホイールに取り付け、つま先をタイヤ下に潜り込ませてホイールを高さ調整をしながらアクスルシャフトを挿入してチェーンの張り・アライメントを合わせ、アクスルナットを指定トルクで締め付け、ブレーキキャリパーを取り付け、ブレーキキャリパー固定ボルトを指定トルクで締め付け、チェーンガードを取り付けましょう。

詳しくは、リアホイール取り外し・取り付け方法をご覧ください。

まとめ

  • ブレーキディスクの取り外し時、地面に段ボールや毛布等の敷いて作業を行う
  • ブレーキディスクの取り外し時、ブレーキディスク固定ボルトははんだごてで熱してからショックドライバーもしくは電動・エアインパクトで取り外す
  • ブレーキディスクの取り付し後、雌ネジにタップを使用してねじ山を清掃する
  • ブレーキディスクの取り付け時、タイヤ進行方向に対し逆方向にテンションを掛けてボルトを締め付けた後、指定トルクで締め付け

Q&A

  • ブレーキディスクの六角穴付きボルトがナメてしまったのですが、どうすればよいでしょうか?
    • ナメた場合、一度ボルトを熱してショックドライバーで試してみてください。
    • ショックドライバーで無理な場合、ボルト中心にドリルで穴を開けて逆タップ(エキストラクター)で救出します。ただ、この場合救出を失敗するとホイール交換になりかねません。失敗した場合はリコイルという方法でめねじを作ります。しかし、ホイール側メネジの肉厚が少ないと強度不足になる可能性があり望ましくないと思います。そこでショップに持ち込み依頼をすると良いでしょう。ねじの救出は技術が必要なので断られるところもあります。断れた場合は、何件かショップを回ってみてください。費用は、救出に掛かった時間で清算されるかと思います。
    • 六角ボルトの場合は、ナットツイスターを使用して取り外すことをお勧めします。エキストラクターを使用するより、容易に高確率で取り外すことができるボルト・ナット救出工具です。
  • ブレーキディスクの固定用ボルトにはんだごてを当ててましたが、どのような意味があるのでしょうか?
    • ブレーキディスクの固定ボルトにはネジロック剤が塗布されている場合があります。ネジロック剤熱により効力を失う性質があるのではんだごてを使用して熱します。
      他にも、バーナーやヒートガンを使用する方法も知られていますが、バーナーの使用はホイールのダストシールが燃える危険性やローターが歪む可能性(ブレーキディスク再利用する場合)があり、ママグネシウムホイールに火で熱すると変質してしまうのでバーナー使用は厳禁です。
      基本的にバイク整備で火を扱う事はありません。
      はんだごての購入はこちら
  • 六角穴付きボルトの場合はショックドライバーを記載されていますが、スピンナハンドルで緩めてはダメなのでしょうか?
    • ダメではありませんが、ブレーキディスクの固定ボルトにはネジロック剤が塗布されている場合があるのでネジ頭がナメると取り外しが大変です。エキストラクターを使用する事になるのですがもし下穴を失敗して雌ネジのねじ山を傷付けると通常リコイルをします。しかし、雌ネジ部分が肉うすなホイールが多くリコイルすると強度不足が心配になります。なので、ネジ頭がナメる前に確実にショックドライバーで取り外しましょう。
      電動・エアインパクトは横方向の力でショックを与えますがショックドライバーは横方向と縦方向に力を加える為ナメにくく取り外しやすいです。
      六角ボルトの場合は電動・エアインパクトの使用がお勧めです。

ブレーキ簡単用語解説

  • ブレーキパッド:ブレーキディスクと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。キャリパーに装着されている。
  • パッドスプリング:ブレーキパッドにテンションを与えブレーキパッドの脱落防止の役割。
  • パッドピン:ブレーキパッドを保持する役割。
  • ピンプラグ:パッドピン脱落防止の栓
  • シム:ブレーキの鳴き防止とブレーキフルードへの断熱の役割。
  • ブレーキディスク:ブレーキパッドと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。ホイールに装着されている。
  • ブレーキキャリパー:ブレーキパッドをブレーキディスクへ押さえつける役割。
  • キャリパーピストン:ブレーキパッドを押す
  • ダストシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、雨水やほこりをキャリパー内に入り込ませない役割。
  • オイルシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、キャリパー内のブレーキフルードを留めておく役割。
  • リザーバータンク:ブレーキフルードを一時的に保管する場所。ブレーキフルードが減少すると外から空気が補充して常に大気圧をちブレーキフィーリング低下を防ぐ。
  • ブリーダー:ブレーキフルード交換時にブレーキフルードを排出する役割。
  • ブレーキマスター:ブレーキフルードを圧送する役割。
  • ブレーキレバー:ブレーキマスターのピストンを押し、ブレーキマスターを機能させる役割。
  • テールランプ::後続車へ走っている事を知らせる車体後方のライト。

 

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