[故障診断と対策事例]圧縮圧力が異常に低い

目次

車両

honda cbr400rr

HONDA CBR400RR

症状

圧縮圧力 低い

走行距離5万kmを境にエンジンのフルオーバーホールを行いました。エンジン組み立て後、コンプレッションゲージを使い圧縮圧力テストを行いましたが許容範囲1300±200キロパスカル(13.0±2.0kg/㎠)を大きく下回り550キロパスカル(5.5kg/㎠)でした

考察

圧縮が漏れているのは明らかで、漏れの箇所は以下のいずれかと考えます。

シリンダー・シリンダヘッド間からの圧縮漏れ

シリンダ・シリンダヘッド間
シリンダヘッドボルトの締め付け不足。もし、締め付けを忘れていたら550キロパスカルまで下がるでしょうが、適切な締め付けトルクで締め付けたら、ここまでは下がらないでしょう。

バルブタイミングの狂い

バルブタイミング 位置確認
カムシャフトの取り付けミスにより角度が間違っている。もし、カムシャフトの取り付けミスなら、バルブ開閉するタイミングが狂う事で圧縮工程時にバルブが開いて圧縮が漏れている可能性があります。

タペット調整不良

シム・バルブリフター・バルブ 位置確認
タペット調整が出来ておらず、バルブが開いている状態。例えば、バルブの擦り合わせをしてシムの厚さを変更しなかった場合や、シムの厚さを誤って厚くした事で、バルブクリアランスがマイナスになり、バルブが突き下げてしまった可能性があります。バルブが突き下げられてしまうとシリンダヘッドとバルブ間に隙間が出来る為、圧縮が漏れてしまう可能性があります。

バルブとシリンダヘッドの密着不良

バルブ・シリンダヘッド間 位置確認
バルブとシリンダヘッドの密着不良で、シリンダヘッドとバルブ間に隙間が出来て圧縮が下がっている可能性があります。しかし、ここまで圧縮圧力が下がる事は考え難いので可能性は低いと考えられます。

 

圧縮漏れ点検

バルブとシリンダヘッド間の圧縮漏れを確認するにはシリンダヘッドのシムやバルブリフターを取り付けられていた場所が分かるように取り外し・保管した後、シリンダヘッドを逆さにして、灯油を入れます。
5分程待ち、灯油が少なくなっていくと、バルブとシリンダヘッド間から灯油が漏れている事になるので、圧縮漏れの可能性があります。
走行距離3万~走っていれば、バルブシート・バルブフェースにカーボンが噛んで虫食い状態になり、大抵ゆっくりと漏れていきます。目安ですが1~2分以内に漏れて無くなるようでしたらバルブを交換して擦り合わせする事をお勧めします。ここは、DIYで行うのではなくプロに依頼しましょう。
バイクショップでも専門に行っている業者に依頼する場合があります。
多気筒でしたら各燃焼室の容積を限りなく近くし、バルブの擦り合わせを行います。4気筒DOHC4バルブの場合なら1日(8時間)掛かりの地道で大変な作業ですが、バルブが正常に閉まっていると特に低回転時のトルクが大きく向上するのが体感できます。発進時にエンストし易い場合はバルブとシリンダヘッド間からの圧縮漏れが考えられます。

ピストン・ピストンリングが破損、もしくは取り付け忘れにより、クランクケース内に吹き抜けている

ピストン・ピストンリング 位置確認
ピストンリングが取り付け時にもし破損してしまっている場合、クランクケース内に吹き抜けている可能性があります。破損しているようでしたら、破片がクランクケース内にある可能性があるのでクランクケースまで分解して破片を見つけましょう。
また、ピストンリングの取り付け忘れの可能性もあります。ピストンリングを取り付けた覚えがない場合は、取り付けましょう。

コンプレッションゲージの取り付け不良

コンプレッションゲージがシリンダヘッドと密着していない為、圧縮が漏れている可能性があります。
確実にコンプレッションゲージをシリンダヘッドに締め付けましょう。
また、コンプレッションゲージには押し込み式のタイプがあります。コンプレッションゲージの先端にゴムが付いており、プラグホールに押し付けるプラグホール径関係無しに計測できる汎用性のあるコンプレッションゲージです。
押し込み式の場合は、確実に押し込んで圧縮圧力を測定しましょう。

原因

バルブタイミングの狂いが原因でした。

対策

カムシャフトをサービスマニュアルの点検・調整項目を参考に正常な位置に取り付けた所、直りました
シリンダヘッドの組み立てのページをみて図のカムシャフトの合いマークを参考にしていたのですが、そのページでの合いマークの表記が間違っており、サービスマニュアルの点検・調整項目の情報にバルブタイミングの情報がありましたのでそちらを参考に合わせた所、圧縮圧力が正常な数値に戻りました。

まとめ

  • 症状:圧縮圧力の許容範囲(13.0±2.0kg/㎠)を大きく下回った(5.5kg/㎠)。
  • 原因:バルブタイミングの狂いが原因。
  • 対策:カムシャフトをサービスマニュアルの点検・調整項目を参考に正常な位置に取り付けた。

小ネタ

圧縮圧力は、圧縮比ではない

本文で、圧縮圧力という言葉を使ってきましたが、圧縮圧力は圧縮比とは異なります。
コンプレッションゲージで計測するのは圧縮圧力です。
サービスマニュアルに圧縮圧力の許容値が記載されていますのでそちらを参考に圧縮圧力の測定を行って下さい。

例えば、CBR400RRの場合、圧縮比は「11.3」、対して圧縮圧力は、「13.0±2.0kg/㎠」と記載されています。
圧縮比を基準にしてしまうと、異常に高い数値なのでは?と思ってしまいますので、「圧縮圧力」の項目をご覧下さい。

 

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