バイクのフロントブレーキフルード交換・エア抜き方法

フロントブレーキフルードの交換方法

ブレーキフルードの交換は、原付バイクをはじめ排気量250cc未満の車両は車検が無い為義務づけられておらず極度に劣化した車両も見受けられます。
ブレーキフルードを交換せず乗っていると沸点が低くなりエアが噛んでブレーキが制動しなくなり事故になりかねません。

劣化しているほど、ブレーキレバーの手ごたえはスポンジーになります。
交換後には、固いフィーリングに変わりライディングが一層楽しくなります。

2年に1度は排気量問わず交換しましょう。

今回はブレーキフルード交換方法について解説します。
是非、参考にして頂きたい。

整備情報

作業手順

1.車体を水平にする

ブレーキフルードの液面を水平にする為に車体を水平にします。

メンテナンススタンドを所有している場合

バイクのメンテナンススタンドの使用場面

センタースタンドがある場合は、センタースタンドを使用しましょう。

メンテナンススタンドを使用する場合は車体が倒れないようにハンドルを左に切り輪ゴムをブレーキレバーに掛けてスタンドアップしましょう。
詳しくは、メンテナンススタンド使用方法をご覧下さい。

メンテナンススタンドを所有していない場合

ハンドル 真っすぐハンドル 左

サイドスタンドを掛けステアリングを左に切りましょう。
左に切ることでリザーバータンクの液面が水平になります。

ブレーキフリザーブタンク水平画像

車種により角度は様々ですがリザーバータンクの液面が水平になる位置へハンドルを調整しましょう。

2.リザーバータンク内のブレーキフルードを取り除く

リザーブタンク回りにウエスを巻く

リザーバータンク周辺をウエスで覆いましょう。
ブレーキフルードがこぼれて塗装面に付着すると塗装が剥がれるので、ウエスで覆い塗装剥がれを予防します。

ブレーキリザーブタンクキャップ取り付けリザーブタンクにリザーブタンクキャップを入れる

ブレーキフルードキャップを取り外しましょう。
プラスねじで複数箇所固定されている場合、ナメやすいのでドライバーを強めに押付けながら(押し8割、回し2割)緩めましょう。

ダイアフラムプレートをリザーブタンクに入れる-2

ダイアフラムプレートとダイアフラムを取り外しましょう。

ブレーキリザーバータンクの仕組みとして、ブレーキパッドは摩耗するとブレーキフルードを多くキャリパーに送り込みます。
すると、リザーバータンク内が負圧になるのでタンクキャップ溝から空気をリザーバータンク内部に負圧状態を無くし大気圧状態を作ります。
詳細は、ブレーキリザーバータンクの役割と点検箇所をご覧下さい。

リザーブタンクに補充ブレーキフルードスポイト抜き取りリザーブタンクブレーキフルード抜き取り完了

ブレーキフルードをスポイトで抜き取りましょう。
底が見えるまで抜き取って頂いて構いません。

スポイトは容量10mlの製品がお勧めです。
バイク整備において使い勝手がよいです。

ブレーキフルードが塗装面に付着した場合

濡れたウエスで拭き取るか水で洗い流しましょう。
ブレーキフルードは水を吸収する性質があるので水で除去できます。

水が近くにない場合は、パーツクリーナーで除去して下さい。
ワコーズ BC-9のような樹脂に対応した製品が無い場合は、樹脂NGのパーツクリーナーで良いので吹きつけてウエスで拭って除去して下さい。

 

リザーブタンクウエス拭き取り

リザーバータンク内に汚れがある場合は、ウエスを使用して拭き取りましょう。

車検がない250cc未満の車両にブレーキフルードが固形化した汚れがある場合が多いです。
ブレーキフルードを長期に渡り交換しない為に発生します。
可能なら、ブレーキラインを一度オーバーホールするとより安心してブレーキ性能の向上(本来の性能)も期待できます。

3.ブリーダーにメガネレンチ・ホースをセット

リザーブタンクにブレーキフルード注ぐ-2

リザーバータンクに新しいブレーキフルードを注ぎましょう。
新しいブレーキフルードを使い、古いブレーキフルードを押し出す形でブレーキフルードの交換を行います。

リザーブタンクにダイヤフラムを被せる

まず、ダイヤフラムを被せましょう。

車種によりブレーキレバーを握るとリザーバータンクからフルードが噴水のように飛び出す場合があります。
カウル等の塗装面に付着すると、剥がれる原因になるのでダイヤフラムを被せましょう。

ブレーキレバーを握る

ブレーキレバーを数回握りましょう。
これによりマスターシリンダーへつながる出入り口のエアを取ります。

ブリーダーに手を掛ける

ブリーダーキャップを取り外しましょう。

ブリーダーのゴムキャップ(ブリーダーキャップ)を取り外すとブリーダーが現れます。
ブリーダーから古いブレーキフルードを出します。

ブリーダーを緩める

ブリーダーボルトを一旦緩めて再度締め付けましょう。
ブリーダーの固着を取るために行います。

ブリーダーにホースをつなぐ-2ブリーダーにホースを繋いだ後-2

先にメガネレンチを装着し、続いてゴムホースを繋ぎます。

ゴムホースはネットショップよりホームセンターでの購入が安価です。

ホースサイズはブリーダー先端外径より1mm小さい製品がお勧めです。
ブリーダー外形が6mmの場合、5mmの製品となります。
ブレーキフルード交換中にホースとブリーダーの隙間からエアが入る事があり、あたかもキャリパー内からエアが出てきている錯覚を防ぐことが出来ます。

ブリーダーからホースブリーダーにホースを繋いだ後

ゴムホースの先にフルード受けを配置しましょう。

フルード受けは、ペットボトルで構いません。
上記画像のフルード受けは、ワンマンブリーダーの容器を使用しています。
容器のみの購入はこちら

4.ブレーキフルード交換開始

左側ブレーキラインのエア抜き-2右側ブレーキラインのエア抜き

ダブルディスクブレーキの場合、左側のキャリパーから先にフルード交換を行います
ブレーキホースが長い順にフルード交換を行います。

4―1.ブレーキレバーを握る

ブレーキレバーを左手で握る-2

左手でブレーキレバーを握った状態を保持します。

4―2.メガネレンチを半時計回りに回す

右手で反時計回りに回す--2

右手でメガネレンチを少しずつ緩めます

ブレーキレバーがグリップに近づいてくる-2

するとブレーキレバーがグリップに近づいてきます。
この時、ブレーキレバーは握ったまま保持しましょう。ブレーキレバーは離さないで下さい。

4―3.ブリーダーを閉める

ブリーダーボルトを締める

ブレーキレバーがグリップに当たる直前にメガネレンチ時計回りに回して締めましょう。

当たってからでも問題ありませんが、最後は当たる直前に締めて下さい。
エアーがブリーダー側から入るのを防ぐためです。

4―4.ブレーキレバーを3回握る

ブレーキレバーを離す

ブリーダーを締めた状態でブレーキレバーを3回ほど握りましょう。
ブレーキレバーの感触が固くなるまでが目安です。

4―5.ブレーキフルードを適宜補充

リザーブタンクにブレーキフルード注ぐ-2

フルードが排出されるにつれリザーバータンク内のフルードは少なくなり最終的にエアを吸ってしまいます。
LOWWERレベルを目安に適宜新品のブレーキフルードを補充しましょう。

4―6.プロセス4―1に戻り繰り返す

ブレーキフルード交換目安

透明なブレーキフルード.
ブレーキフルード劣化ブレーキフルード新品

ブレーキフルードの色が変わるまで交換しましょう。
ブレーキフルードの色は、劣化するにつれ黄色に近い色になります。

画像左:劣化したブレーキフルード。(黄色)
画像右:新品のブレーキフルード。(透明)

4―7.ブリーダー内部のブレーキフルードを取り除く

ウエスを丸めて尖らせる-2ウエスをブリーダー内部に入れる

ブリーダー内部に残ったブレーキフルードをティッシュペーパー等で吸い取りましょう。
エア抜き終了後ブリーダーの中には微量のブレーキフルードが残っており、放置すると錆の原因になります。

4―8.ブリーダーキャップを被せる

ブリーダーキャップを被せる

ブリーダーキャップを被せましょう。

キャップが無い場合、雨水が溜まり放置されると錆が発生する原因になるので注意しましょう。
ブリーダーキャップ購入はこちら

5.ブレーキフルードを補充する

リザーブタンクに補充2UPPERライン

ブレーキフルードをUPPERレベルまで補充しましょう。
LOWERレベルからUPPERレベルの中間位置ではなくUPPERレベルまで補充します。
走行中に車体を傾けた際にエアを吸わないようにする為です。

6.リザーバータンクキャップを取り付ける

ダイアフラムをリザーブタンクに入れる

ダイヤフラムを取り付けましょう。
破けている場合は、正常に機能しないので交換する必要があります。

ダイアフラムプレートをリザーブタンクに入れる-2

ダイヤフラムプレートを取り付けます。

プレート中心の穴がふさがっている場合は汚れを除去しましょう。
フルードが少なくなる事でリザーバータンク内が負圧にならないよう空気を送る為の穴です。

リザーブタンクにリザーブタンクキャップを入れる

リザーバータンクキャップを取り付けましょう。

キャップ内側にスリット(溝)が切り込んであります。
負圧にならない為に外から空気を送る通り道なので、切り込みに汚れが付着している場合は取り除きましょう。

ブレーキリザーブタンクキャップ取り付け

リザーバータンクキャップボルトを取り付けましょう。

締め付けすぎるとが割れるので力の掛けすぎには注意しましょう。
取り外し時にナメたネジは使用せず新品ネジを購入しましょう。

金属のリザーバータンクの場合は、塗装剥げ防止のためにブレーキフルード交換が終わったら水の含んだウエスで拭いておくと安心です。

7.試走

ブレーキフルード交換を初めて行う方は、試走を行いましょう
試走前にブレーキレバーを握りしっかり手ごたえがあるか確認しましょう。
スポンジのように軟らかい場合はエアが噛んでいるので再度エア抜きしましょう。
しっかりと手ごたえが有れば走行中にエアが噛む可能性は低いです。

万が一、エアーが噛んで止まらない場合リアブレーキとエンジンブレーキを使い止まりましょう。
バイクを押して帰り再度エア抜きを行いましょう。

まとめ

  • ブレーキフルード交換前、車体を水平にする
  • ブレーキフルード交換手順は、ブレーキレバーを押す→ブリーダーを緩める→ブリーダーを締める→ブレーキレバーを離す→ブレーキレバーを3回ほど握る。
  • ブレーキフルード交換時、ダブルディスクキャリパーの場合は左側(遠い側)のキャリパーから交換作業を行う
  • ブレーキフルード交換後、リザーバータンクにブレーキフルードをUPPERレベルまで補充する
  • ブレーキフルード交換終了後、ブリーダー内のフルードを除去する
  • エア抜きが失敗したら、再度エア抜きを繰り返す

Q&A

  • ブレーキレバーの感触が無く、一向にエア抜きが終わらないのですがどうすればよいでしょうか?
    • エアが噛んでいるのでエア抜きをしましょう。
      ハンドルを外すなどして、リザーバータンクをひっくり返した状態にするとエアが混入する可能性が高まります。
      マスターシリンダーにエアが噛んでいるとキャリパー側で何度もエア抜きしてもエアが抜けない場合があります。通常、ブレーキフルードが充填されていない状況で新たにブレーキフルードを充填する場合は、2か所のエア抜き箇所があります。1つはマスターシリンダーのバンジョーボルト。もう1つはキャリパーのブリーダーです。バンジョーボルトもキャリパー側のブリーダー同様にエア抜きを行いましょう。ブレーキフルードが滲んできたら次にキャリパー側のエア抜きを行いましょう。
      エアが混入するのはリザーバータンク側もしくはブリーダー側のどちらかです。以前からブレーキレバーの感触が無い場合はブレーキホースを辿っていき漏れている箇所が無いか確認して下さい。
      漏れが発生しているとそこからエアを吸っているのでブレーキホースを交換する必要があります。純正品に交換するか、ブレーキのフィーリングを上げたいなら純正より硬く膨張しにくいステンメッシュホースも出回っています。
  • リザーバータンクの塗装が剥げてしまったのですが、何故でしょう?
    • ブレーキフルードが塗装面に付着したと考えられます。ブレーキフルードが塗装面に付着した時点で水かパーツクリーナーを使用して除去しましょう。放置すると塗装が剥げてしまいます。長年放置された車両はマスターシリンダー・キャリパーなどシールのある箇所からブレーキフルードが漏れてブレーキレバーやブレーキレバーを支えるブラケット、リザーブタンクの塗装が剥げてしまっている車両もあります。
      既に塗装が剥げている場合は再塗装かパーツ交換するしかありません。
      鉄系のパーツに付着して塗装が剥げると錆が発生するので作業後は水で流すなり対処しておくと良いでしょう。鉄フレームは要注意。
  • フルードキャップ取り付けねじが不注意でナメてしまったので外す方法はありますか?
  • ブレーキフルードを2年毎に交換しているのですが、元から色が透明でブレーキフルードの色で判別出来ません。目安で良いのでどれ位の量を交換すればよいでしょう?
    • 目安として1キャリパーにつき、リザーブタンク満タンで3~4回分と考えておきましょう。例えば、今回のフロントキャリパーなら既存のブレーキフルードを抜き取って、1回目を補充してLOWWER辺りまでブレーキフルード交換します。2回目を補充して再度LOWWER辺りまでブレーキフルード交換を行います。3回目も同様に行います。次に右キャリパー側も同様に3~4回行い、ブレーキフルードをリザーブタンクのUPPERレベルまで補充して終了となります。合計8回分のブレーキフルードを送り込んで9回目で補充して終了となります。
      本来、1回分で完了する場合もありますがリザーブタンクが小さいタイプの製品だったり、液面が水平でないと1回の補充が通常より少なくなります。他にも、社外のステンメッシュホース等を使用している場合は通常のブレーキラインより長くなるので、念のため3~4回交換すれば確実です。
      DIYでブレーキフルード交換すると、購入したブレーキフルードを消費するのに何年も掛かかるかと思います。ブレーキフルードは水を吸う性質(吸湿性)があるので保管しておくだけで湿気で劣化します。なので早め早めに使いきるか小さい500ccほどの容量のタイプを購入すると良いかもしれません。

お勧め

プラスチック製リザーバータンクの場合、保護目的でプラスチック光沢剤を使用すると光沢で見栄えが良くなり、保護にもなります。

リザーブタンクにプラスチック光沢剤-2リザーブタンクにプラスチック光沢剤2-2リザーブタンクにプラスチック光沢剤3-2

ブレーキ簡単用語解説

  • ブレーキパッド:ブレーキディスクと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。キャリパーに装着されている。
  • パッドスプリング:ブレーキパッドにテンションを与えブレーキパッドの脱落防止の役割。
  • パッドピン:ブレーキパッドを保持する役割。
  • ピンプラグ:パッドピン脱落防止の栓
  • シム:ブレーキの鳴き防止とブレーキフルードへの断熱の役割。
  • ブレーキディスク:ブレーキパッドと接触する事で熱エネルギーを発生させる代わりに速度を落とす。ホイールに装着されている。
  • ブレーキキャリパー:ブレーキパッドをブレーキディスクへ押さえつける役割。
  • キャリパーピストン:ブレーキパッドを押す
  • ダストシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、雨水やほこりをキャリパー内に入り込ませない役割。
  • オイルシール:キャリパーピストンとキャリパーの間に配置され、キャリパー内のブレーキフルードを留めておく役割。
  • リザーバータンク:ブレーキフルードを一時的に保管する場所。ブレーキフルードが減少すると外から空気が補充して常に大気圧をちブレーキフィーリング低下を防ぐ。
  • ブリーダー:ブレーキフルード交換時にブレーキフルードを排出する役割。
  • ブレーキマスター:ブレーキフルードを圧送する役割。
  • ブレーキレバー:ブレーキマスターのピストンを押し、ブレーキマスターを機能させる役割。
  • テールランプ::後続車へ走っている事を知らせる車体後方のライト。

 

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